ステマ規制2年経過|消費者庁の摘発実例と企業の防御策【2026年版】
企業法務最終更新: 2026-05-21約6分で読めます弁護士監修済

ステマ規制2年経過|消費者庁の摘発実例と企業の防御策【2026年版】

この記事のポイント

  • 2023年10月施行の景表法ステマ規制(5条3号)から2年経過、消費者庁の措置命令は2026年5月時点で累計約20件
  • 違反は事業者(広告主)に責任、インフルエンサー側は規制対象外だが間接的に「事業者として認定」される事例も
  • 「#PR」「#広告」等の明確なPR表記が必須、目立たない場所・文字色・略語(「サポ」等)はNG
  • 違反時は措置命令(公表+再発防止)、命令違反は2年以下の懲役+300万円以下の罰金、ブランドダメージが甚大
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2023年10月1日に施行された「景品表示法第5条第3号」(いわゆるステマ規制)から2年が経過しました。消費者庁は当初の周知期間を経て、2024-2026年にかけて摘発を本格化しています。本記事では、最新の処分事例、PR表記の境界線、企業のコンプライアンス対応を弁護士が解説します。

ステマ規制の概要

規制の根拠

景品表示法第5条第3号(2023年10月1日施行):

> 商品又は役務の取引について、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難であると認められるもの

これは従来の優良誤認(1号)・有利誤認(2号)に加わる第3類型として新設され、消費者庁告示・運用基準で具体的内容が定められています。

規制対象

  • 事業者(広告主): 規制対象。違反時は措置命令の対象
  • インフルエンサー・アフィリエイター: 規制対象外(直接的には)
  • 広告代理店・PR会社: 状況により事業者として認定される可能性

違反の構成要件

  1. 事業者の表示であること(事業者の依頼・関与あり)
  2. 一般消費者が事業者の表示と判別困難な状態

つまり、事業者が金銭・物品・特典等を提供して投稿させた場合、明確なPR表記なしの投稿は違反となります。

2024-2026年の摘発事例

措置命令事例(主要なもの)

事例1: エステサロンチェーン(2024年3月) - 違反内容: 顧客紹介プログラム参加者にレビュー投稿を依頼、PR表記なし - 措置: 措置命令、公表 - 注目点: 「割引特典付き紹介」も「対価」に該当と判定

事例2: 化粧品ブランド(2024年8月) - 違反内容: 製品提供+原稿提示でインフルエンサーに投稿依頼、ハッシュタグなし - 措置: 措置命令、公表 - 注目点: SNSの「タイアップ」表示機能未使用が問題視

事例3: ホテルチェーン(2025年1月) - 違反内容: 宿泊招待でブロガー10名以上に記事執筆依頼、各記事末尾に小文字でPR表記 - 措置: 措置命令、公表 - 注目点: PR表記の視認性が問題(小文字・薄いグレー)

事例4: 健康食品メーカー(2025年6月) - 違反内容: アフィリエイトプログラムでブロガーにレビュー依頼、「協力」表記のみ - 措置: 措置命令、公表 - 注目点: 「協力」「サポート」等の曖昧な表記はNG

事例5: アパレルブランド(2025年11月) - 違反内容: 商品提供でTikTokクリエイター複数名に動画投稿依頼、PR表示なし - 措置: 措置命令、公表 - 注目点: TikTok等の短尺動画でも明確なPR表記必須

事例6: ECモール出店者(2026年2月) - 違反内容: 自社従業員に複数のレビュー投稿を作成させ、星評価操作 - 措置: 措置命令、公表 - 注目点: いわゆる「サクラレビュー」も明確に違反

累計処分件数(2026年5月時点)

  • 措置命令: 約20件
  • 警告(措置命令未満): 数十件
  • 注意指導: 多数

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PR表記の境界線

適切な表記(コンプライアント)

✅ #PR ✅ #広告 ✅ #プロモーション ✅ #タイアップ ✅ 【○○社からの商品提供】 ✅ 「これは○○社より商品を提供いただいて投稿しています」

不適切な表記(違反リスク)

❌ #PR がコメント欄や本文末尾の目立たない場所 ❌ 文字色が背景と同色・薄色 ❌ 「協力」「サポート」「お世話になってます」等の曖昧表現 ❌ 「サポ」「タイアップ」のみで広告主名なし ❌ ハッシュタグ多数の中に紛れ込ませる ❌ ストーリーズで一瞬だけ表示

消費者庁の運用基準

消費者庁の運用基準(2023年10月策定)では、以下の判定要素を挙げています:

  1. 表示場所: 投稿の冒頭または目立つ位置に配置
  2. 視認性: 通常の閲覧で気づくサイズ・色
  3. 明確性: 「PR」「広告」「タイアップ」等の明確な語句
  4. 持続性: 動画の場合、視聴期間中継続的に表示

企業のコンプライアンス対応

1. ガイドライン整備

社内向けマーケティングガイドラインに以下を明文化: - ステマ規制の概要と社内責任体制 - インフルエンサー・アフィリエイト・PR代理店との契約での明示 - 違反時の対応フロー(発見、報告、是正)

2. 契約書での明示

インフルエンサー・PR代理店との契約に以下を盛り込む: - PR表記義務条項: 「#PR」等の表記を全投稿に必須 - 事前確認義務: 投稿前の表記内容のチェック権 - 違反時の責任分担: 違反による損害賠償条項 - 検収条件: 適切なPR表記がない場合は対価支払い不可

3. モニタリング体制

  • 投稿後の確認: 委託したインフルエンサーの実投稿を確認
  • 第三者監査: 大規模キャンペーンでは外部監査の検討
  • 発覚時の早期対応: 不適切表記発見後72時間以内に是正依頼

4. 社内研修

  • マーケティング部門全員: ステマ規制概要、適切なPR表記
  • 管理職: 違反発見時の対応フロー
  • 法務部門: 個別案件の法的レビュー手順

違反時のリスクと対応

想定リスク

  1. 措置命令(行政処分): 公表+再発防止策の策定義務
  2. 公表によるブランドダメージ: 消費者庁HP+メディア報道
  3. 措置命令違反の刑事罰: 2年以下の懲役+300万円以下の罰金
  4. 株主・取引先からの訴追: 善管注意義務違反、補償請求
  5. SNS炎上: 不買運動、ブランド評価低下

違反疑義の発覚時の対応

  1. 事実関係の即時確認(投稿内容、契約書、対価)
  2. 弁護士相談(消費者庁対応の戦略)
  3. 是正措置(投稿修正・削除、PR表記追加)
  4. 公表前の自主的開示検討(処分の軽減要素)
  5. 再発防止策の策定・実施(契約改訂、研修強化)

弁護士関与が必要なケース

事前対策

  1. ガイドライン作成・改訂: 業種固有の論点反映
  2. 契約書ひな型整備: インフルエンサー・PR代理店契約
  3. 広告審査体制構築: 投稿前の法的レビュープロセス
  4. 社内研修: 部門別カリキュラム提供

事後対応

  1. 消費者庁調査対応: 弁明書作成、ヒアリング同席
  2. 措置命令への対応: 措置命令の取消訴訟可能性検討
  3. 損害賠償対応: インフルエンサー・代理店への求償
  4. 株主代表訴訟対応: 役員の善管注意義務違反疑義への対応

まとめ

ステマ規制施行2年で、消費者庁の摘発は着実に進んでいます。措置命令累計約20件、公表によるブランドダメージは甚大で、「気づかれなければ」という安易な発想は通用しなくなっています

企業の必須対応: - 明確なPR表記の徹底(#PR、#広告、#タイアップ等) - インフルエンサー・PR代理店との契約での明示 - モニタリング体制の構築 - 違反時の迅速な是正フロー

マーケティング部門・経営層・法務部門の三位一体でステマ規制対応を進めることが、コンプライアンスとブランド価値保護の両立につながります。

景表法・ステマ規制・マーケティングコンプライアンスについては、企業法務に詳しい弁護士へのご相談をお勧めします。

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※ 本記事は法律の一般的な知識を提供するものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。

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