著作権の基本
著作権は、思想または感情を創作的に表現したもの(著作物)が創作された時点で自動的に発生します(著作権法2条1項1号、17条2項)。特許や商標と異なり、登録は不要です。
保護期間は著作者の死後70年(著作権法51条)。法人著作物・映画著作物は公表後70年です(著作権法53条・54条)。
侵害の成立要件
著作権侵害が成立するには以下が必要です。
- 著作物性: 創作性のある表現であること(事実・データ・アイデアは対象外)
- 依拠性: 既存の著作物にアクセスし、それをもとに作成したこと
- 類似性: 表現において実質的な類似性があること
侵害にならない場合
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 著作権法30条 | 私的使用のための複製 |
| 著作権法32条 | 引用(出所明示・必然性・主従関係が必要) |
| 著作権法47条の5 | 情報解析のための複製 |
| 著作権法48条 | 出所明示義務(引用等の場合) |
対処法1: 削除請求(差止請求)
直接請求
侵害者に対し、著作権法112条に基づき侵害の停止・予防を請求できます。また、侵害に使用した複製物の廃棄も求められます。
プロバイダへの送信防止措置依頼
ウェブサイト上での侵害には、プロバイダ責任制限法に基づく送信防止措置依頼が有効です。
手順: 1. 侵害URLと著作権者であることの証明を準備 2. ホスティング事業者に書面(メール可)で依頼 3. 事業者は原則7日以内に対応義務
海外サービス(YouTube、Instagram等)はDMCA(デジタルミレニアム著作権法)のTakedown手続きも利用できます。
対処法2: 損害賠償請求
損害額の推定規定(著作権法114条)
実際の損害額の立証が困難なため、法律が損害額を推定する規定を設けています。
| 根拠 | 計算方法 |
|---|---|
| 114条1項 | 侵害者が譲渡した数量×著作権者の単位利益額 |
| 114条2項 | 侵害者が侵害によって受けた利益額 |
| 114条3項 | 通常受けるべき使用料相当額 |
実務上は114条2項(侵害者の利益)または3項(使用料相当額)が多く使われます。
消滅時効
著作権侵害の損害賠償請求権は、損害及び加害者を知った時から3年、または不法行為時から20年で消滅します(民法724条)。
対処法3: 刑事告訴
著作権法は刑事罰を定めています(著作権法119条以下)。
| 行為 | 法定刑 |
|---|---|
| 著作権侵害 | 10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(またはその両方) |
| 法人の侵害 | 3億円以下の罰金 |
刑事告訴は親告罪(著作権法123条)のため、著作権者が告訴しなければ起訴されません。刑事告訴は犯罪行為の抑止・証拠収集に有効ですが、民事と並行して行うことが多いです。
証拠の保全
侵害を発見したら直ちに以下を保全してください。
- スクリーンショット(URLと日時が見えるよう撮影)
- アーカイブサービス(web.archive.org等)への保存
- 公証役場での確定日付取得(法的効力が高い)
まとめ
著作権侵害への対処は、侵害の規模・態様に応じて削除請求・損害賠償・刑事告訴を組み合わせることが効果的です。損害額の推定規定(114条)を活用することで、立証の困難性を克服できます。