ネット問題の全記事を見る最終更新: 2026-03-30約3分で読めます弁護士監修済

著作権侵害への対処法|削除請求・損害賠償・刑事告訴の手順

この記事のポイント

  • 著作権は創作と同時に発生し、登録不要。侵害には差止請求・損害賠償請求・刑事告訴の3手段がある
  • 損害額の推定規定(著作権法114条)により、侵害者の利益額や使用料相当額を損害として請求できる
  • オンライン侵害はプロバイダ責任制限法の送信防止措置依頼で迅速に対応可能
この記事をシェア

著作権の基本

著作権は、思想または感情を創作的に表現したもの(著作物)が創作された時点で自動的に発生します(著作権法2条1項1号、17条2項)。特許や商標と異なり、登録は不要です。

保護期間は著作者の死後70年(著作権法51条)。法人著作物・映画著作物は公表後70年です(著作権法53条・54条)

侵害の成立要件

著作権侵害が成立するには以下が必要です。

  1. 著作物性: 創作性のある表現であること(事実・データ・アイデアは対象外)
  2. 依拠性: 既存の著作物にアクセスし、それをもとに作成したこと
  3. 類似性: 表現において実質的な類似性があること

侵害にならない場合

条文内容
著作権法30条私的使用のための複製
著作権法32条引用(出所明示・必然性・主従関係が必要)
著作権法47条の5情報解析のための複製
著作権法48条出所明示義務(引用等の場合)

この記事に関連する無料ツール

時効計算チェッカー

この記事の分野に関連する無料シミュレーターをお試しください。

無料で試す →

対処法1: 削除請求(差止請求)

直接請求

侵害者に対し、著作権法112条に基づき侵害の停止・予防を請求できます。また、侵害に使用した複製物の廃棄も求められます。

プロバイダへの送信防止措置依頼

ウェブサイト上での侵害には、プロバイダ責任制限法に基づく送信防止措置依頼が有効です。

手順: 1. 侵害URLと著作権者であることの証明を準備 2. ホスティング事業者に書面(メール可)で依頼 3. 事業者は原則7日以内に対応義務

海外サービス(YouTube、Instagram等)はDMCA(デジタルミレニアム著作権法)のTakedown手続きも利用できます。

対処法2: 損害賠償請求

損害額の推定規定(著作権法114条)

実際の損害額の立証が困難なため、法律が損害額を推定する規定を設けています。

根拠計算方法
114条1項侵害者が譲渡した数量×著作権者の単位利益額
114条2項侵害者が侵害によって受けた利益額
114条3項通常受けるべき使用料相当額

実務上は114条2項(侵害者の利益)または3項(使用料相当額)が多く使われます。

消滅時効

著作権侵害の損害賠償請求権は、損害及び加害者を知った時から3年、または不法行為時から20年で消滅します(民法724条)

対処法3: 刑事告訴

著作権法は刑事罰を定めています(著作権法119条以下)

行為法定刑
著作権侵害10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(またはその両方)
法人の侵害3億円以下の罰金

刑事告訴は親告罪(著作権法123条)のため、著作権者が告訴しなければ起訴されません。刑事告訴は犯罪行為の抑止・証拠収集に有効ですが、民事と並行して行うことが多いです。

証拠の保全

侵害を発見したら直ちに以下を保全してください。

  • スクリーンショット(URLと日時が見えるよう撮影)
  • アーカイブサービス(web.archive.org等)への保存
  • 公証役場での確定日付取得(法的効力が高い)

まとめ

著作権侵害への対処は、侵害の規模・態様に応じて削除請求・損害賠償・刑事告訴を組み合わせることが効果的です。損害額の推定規定(114条)を活用することで、立証の困難性を克服できます。

この分野の無料ツール

この記事をシェア
※ 本記事は法律の一般的な知識を提供するものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。

関連記事

リベンジポルノの法的対処法|削除請求と刑事告訴の手続き

リベンジポルノ被害への法的対処法を解説。私事性的画像記録法に基づく削除請求、刑事告訴、損害賠償請求の手続きと相談窓口を説明します。

AI生成コンテンツと著作権|生成AIの法的リスクと対策

ChatGPT・画像生成AI等で作成したコンテンツの著作権の帰属、他者の著作物との類似性リスク、企業が注意すべき法的問題を解説。

いじめの裁判と慰謝料相場|ネットいじめの法的責任と損害賠償請求

いじめの裁判で請求できる慰謝料の相場と法的責任を解説。加害者の刑事・民事責任、学校の安全配慮義務、損害賠償請求の方法、プラットフォーム事業者の削除義務。

ネット上のプライバシー侵害|個人情報の無断公開と法的対処法

インターネット上で個人情報や私生活を無断で公開された場合の法的対処法。プライバシー権の判例法理、削除請求、損害賠償。

ネット誹謗中傷の発信者情報開示請求|手続きの流れと費用を解説

匿名のネット誹謗中傷に対し、発信者情報開示請求で投稿者を特定する方法を解説。2022年改正法の新制度、手続きの流れ、費用の目安、注意点を弁護士監修なしで条文に基づいて説明します。

口コミ削除請求の方法|Googleマップ・食べログ等の悪質レビュー対策

Googleマップや食べログ等の悪質な口コミ・レビューの削除請求方法を解説。名誉毀損・信用毀損に該当する口コミの判断基準、プロバイダ責任制限法に基づく送信防止措置請求、仮処分の手続きを説明します。

関連するQ&A

関連する法律用語

おすすめの関連記事

ネット問題

ネット上のプライバシー侵害|個人情報の無断公開と法的対処法

インターネット上で個人情報や私生活を無断で公開された場合の法的対処法。プライバシー権の判例法理、削除請求、損害賠償。

記事を読む
ネット問題

ネット誹謗中傷の発信者情報開示請求|手続きの流れと費用を解説

匿名のネット誹謗中傷に対し、発信者情報開示請求で投稿者を特定する方法を解説。2022年改正法の新制度、手続きの流れ、費用の目安、注意点を弁護士監修なしで条文に基づいて説明します。

記事を読む
ネット問題

口コミ削除請求の方法|Googleマップ・食べログ等の悪質レビュー対策

Googleマップや食べログ等の悪質な口コミ・レビューの削除請求方法を解説。名誉毀損・信用毀損に該当する口コミの判断基準、プロバイダ責任制限法に基づく送信防止措置請求、仮処分の手続きを説明します。

記事を読む
ネット問題

SNS炎上対策|企業・個人が取るべき法的対応と予防策

SNS炎上が発生した場合の法的対応策を解説。名誉毀損・業務妨害に該当するケースの判断基準、発信者情報開示請求、損害賠償請求、予防策としての社内ガイドライン策定について説明します。

記事を読む
ネット問題

ネットストーキング規制法|つきまとい行為の定義と対処法

ストーカー規制法におけるネットストーキングの定義、2021年改正でのGPS・SNS規制追加、警告・禁止命令の手続き、被害者が取るべき対応を解説します。

記事を読む
ネット問題

フィッシング詐欺にあったら|今すぐやるべき3つの対処法

フィッシング詐欺にあったらまず銀行とカード会社に連絡。口座凍結・カード停止で被害を最小限に。重大な過失がなければ補償されます。被害届の出し方、返金までの流れを弁護士が解説。

記事を読む
弁護士監修記事

法律の悩み、まずは専門家に相談を

本記事の情報は一般的な解説です。個別の事情によって結論は変わります。お住まいの地域の弁護士会へ早めにご相談ください。

日弁連 法律相談ガイド