プライバシー権の法的根拠
日本の法律にはプライバシー権を明示的に定めた規定はありませんが、判例により憲法13条(幸福追求権)から導かれる人格権の一内容として確立されています。
「宴のあと」事件(東京地判昭和39年9月28日)
プライバシー権を日本で初めて認めた判決。以下の3要件を示しました。 1. 私生活上の事実又はそのように受け取られるおそれのある事柄 2. 一般人の感受性を基準にして公開を欲しない事柄 3. 一般の人に未だ知られていない事柄
ネット上のプライバシー侵害の類型
1. 個人情報の無断公開
- 住所・電話番号の晒し(いわゆる「晒し行為」)
- 本名と匿名アカウントの紐付け公開
- 顔写真の無断転載
2. 私生活の暴露
- 不倫・交際関係の暴露
- 病歴・前科の公開
- 私的な会話やメッセージの無断公開
3. リベンジポルノ
私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(リベンジポルノ防止法)により3年以下の懲役又は50万円以下の罰金。
法的対処法
1. 削除請求
- サイト管理者への削除依頼: 問合せフォーム、送信防止措置依頼書の送付
- プロバイダ責任制限法に基づく送信防止措置請求(法3条2項)
- 裁判所への仮処分申立て: 削除に応じない場合
2. 検索結果の削除(忘れられる権利)
- Google等の検索エンジンに対する削除リクエスト
- 最決平成29年1月31日: 検索結果の削除は「公表されない法的利益が優越することが明らかな場合」に限り認められる
3. 発信者情報開示請求
プロバイダ責任制限法5条に基づき、投稿者を特定して損害賠償請求。
4. 損害賠償請求
- 不法行為(民法709条)に基づく慰謝料請求
- プライバシー侵害の慰謝料相場: 10万円〜100万円程度
- 悪質なケース(晒し+ストーキング等): 100万円超の認容例あり
自衛のポイント
- SNSのプライバシー設定を最大限に活用
- 個人を特定できる情報の公開を最小限に
- 被害発生時は直ちに証拠保全(スクリーンショット)
- 法務局の人権相談(みんなの人権110番: 0570-003-110)
根拠条文
- 憲法13条(幸福追求権 → プライバシー権)
- 民法709条(不法行為)、710条(財産以外の損害)
- プロバイダ責任制限法3条(送信防止措置)、5条(開示請求)
- リベンジポルノ防止法3条(罰則)