ネット誹謗中傷とは
SNS、掲示板、口コミサイトなどで、個人や企業の社会的評価を低下させる投稿が行われることがあります。これらは法的に名誉毀損(刑法230条)や侮辱(刑法231条)に該当する可能性があります。
発信者情報開示請求の概要
匿名の投稿者を法的に特定するための手続きが発信者情報開示請求です(プロバイダ責任制限法5条)。
2022年改正のポイント
2022年10月施行の改正により、従来2段階だった手続きが1回の裁判手続き(発信者情報開示命令)で完了できるようになりました。
改正前: ①サイト管理者への仮処分 → ②ISPへの本訴 → 合計1〜2年 改正後: 発信者情報開示命令の申立て → 6ヶ月〜1年程度
手続きの流れ
ステップ1: 証拠の保全
投稿のスクリーンショット、URL、投稿日時を記録します。通信ログの保存期間は通常3〜6ヶ月のため、早期の対応が重要です。
ステップ2: サイト管理者への開示請求
投稿が行われたサイトの管理者に対し、投稿者のIPアドレスとタイムスタンプの開示を求めます。
ステップ3: ISP(プロバイダ)への開示請求
取得したIPアドレスをもとに、ISPに対して契約者情報(氏名・住所)の開示を求めます。
ステップ4: 損害賠償請求
特定された投稿者に対し、慰謝料等の損害賠償を請求します。
費用の目安
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 弁護士費用(開示請求) | 30〜50万円 |
| 弁護士費用(損害賠償請求含む) | 50〜100万円 |
| 裁判所への印紙代等 | 数万円 |
認められる慰謝料の相場
- 個人への誹謗中傷: 30〜100万円
- 企業への信用毀損: 50〜300万円
- 性的な内容を含む場合: 100〜200万円
注意点
- ログの保存期間: 通信ログは通常3〜6ヶ月で消去されるため、投稿を発見したら速やかに対応する必要があります
- 権利侵害の明白性: 開示が認められるには、投稿が権利を侵害していることが明らかである必要があります
- 正当な批判との区別: 事実に基づく正当な批判や意見は、名誉毀損には該当しません
根拠条文
- プロバイダ責任制限法5条(発信者情報の開示請求)
- 刑法230条(名誉毀損罪)
- 刑法231条(侮辱罪)
- 民法709条(不法行為に基づく損害賠償)