家賃増額請求の法的根拠
借地借家法32条1項により、以下の事情変更がある場合に限り家賃の増額を請求できます。
増額の正当理由
- 土地・建物の租税公課の増減
- 土地・建物の価格の上昇・低下
- 近傍類似の建物の賃料との比較(近隣相場)
- その他の経済事情の変動
借主の権利
値上げに応じる義務はない
家賃の増額請求は一方的な意思表示であり、借主が同意しなければ効力は生じません。
相当と認める額の支払い(法32条2項)
増額を正当とする裁判が確定するまで、借主は自分が相当と認める額(=従前の家賃)を支払えば足ります。支払を怠ると債務不履行になるため、従前の家賃は必ず払い続けること。
供託制度(民法494条)
家主が従前の家賃の受取りを拒否する場合、法務局に供託することで債務不履行を回避できます。
値上げを拒否する手順
1. 書面で回答
「値上げには同意できない」旨を書面で通知。理由も簡潔に記載。
2. 調停の申立て(民事調停法24条の2)
家賃の増額請求に関する訴訟を提起するには、まず調停を経なければなりません(調停前置主義)。簡易裁判所に申立て。
3. 訴訟
調停が不成立の場合、家主は賃料増額確認訴訟を提起。裁判所が適正賃料を判断。鑑定が行われることが多い。
値上げが認められやすいケース
- 長年据え置いた家賃が周辺相場を大幅に下回っている
- 固定資産税が大幅に上昇した
- 建物の大規模修繕を実施した
根拠条文
- 借地借家法32条(賃料増減請求権)
- 民法494条(供託)
- 民事調停法24条の2(調停前置)