消費者問題

消費者問題

消費者問題の法律知識を解説。クーリングオフ制度、悪質商法への対処、消費者契約法による取消し、製造物責任(PL法)、ネット通販・サブスクトラブルの解決方法を、特定商取引法等の条文に基づいて説明します。

クーリングオフ

訪問販売などの契約を一定期間内に無条件で解除できる制度です。

詳しく読む ▼

クーリングオフは、特定の取引について、契約後一定期間内であれば無条件で契約を解除できる制度です。不意打ち的な勧誘や高圧的なセールスから消費者を保護することが目的です。

対象取引と期間: - 訪問販売(特定商取引法9条): 8日間 - 電話勧誘販売(特定商取引法24条): 8日間 - 特定継続的役務提供(特定商取引法48条): 8日間(エステ、語学教室、学習塾、家庭教師、パソコン教室、結婚相手紹介サービスの6業種) - 連鎖販売取引(マルチ商法)(特定商取引法40条): 20日間 - 業務提供誘引販売取引(内職商法等)(特定商取引法58条): 20日間 - 訪問購入(特定商取引法58条の14): 8日間

方法: 書面(はがきでOK)または電磁的記録(メール等)で通知(2022年改正で電磁的方法が追加)。発信主義により、期間内に発送すれば有効です。

効果: 無条件解約。違約金・損害賠償の請求不可。支払済み代金は全額返金。商品の返送費用は事業者負担。

注意: 通信販売(ネット通販)にはクーリングオフ制度は適用されません。ただし、返品特約の表示がない場合は商品受領後8日以内の返品が可能です(特定商取引法15条の3、送料は購入者負担)

消費者契約法による救済

不実告知や不退去など不当な勧誘による契約は取り消せます。

詳しく読む ▼

消費者契約法は、事業者と消費者の間の情報力・交渉力の格差を是正し、消費者を保護する法律です。

契約の取消し(消費者契約法4条): - 不実告知: 重要事項について事実と異なることを告げた場合 - 断定的判断の提供: 将来の変動が不確実な事項について「必ず儲かる」等と断定した場合 - 不利益事実の不告知: 消費者に不利益な事実を故意・重過失で告げなかった場合 - 不退去: 消費者が帰って欲しいと言ったのに退去しない場合 - 退去妨害: 消費者が帰りたいと言ったのに帰さない場合 - 過量契約: 消費者にとって通常の分量を著しく超える契約

2022年・2023年改正では、霊感商法等の勧誘による取消権(消費者契約法4条3項8号)や、つけ込み型不当勧誘に対する取消権が追加されました。

取消しの期間: 追認できる時から1年間、契約締結時から5年間。

不当条項の無効(消費者契約法8-10条): 事業者の損害賠償責任を全部免除する条項、消費者の解除権を放棄させる条項、消費者の利益を一方的に害する条項等は無効です。

悪質商法の類型と対処法

点検商法やマルチ商法など代表的な手口と対処法を紹介します。

詳しく読む ▼

悪質商法にはさまざまな手口があり、手口を知ることが最大の防御です。

1. 点検商法: 「無料点検」と称して不安を煽り、「今すぐ修理しないと危険」等と高額契約を結ばせる。高齢者が狙われやすい。→ クーリングオフまたは不実告知による取消し。

2. 催眠商法(SF商法): 閉鎖空間に集め、無料の日用品を配って興奮状態にしてから高額商品を購入させる。→ 訪問販売に該当しクーリングオフ可能。

3. 送り付け商法(ネガティブ・オプション): 注文していない商品を送りつけて代金を請求。2021年の特定商取引法改正で、消費者は送り付けられた商品を直ちに処分できるようになりました(特定商取引法59条)

4. マルチ商法(連鎖販売取引): 「友人を紹介すれば報酬が入る」等と勧誘し会員を増やす仕組み。→ 20日間のクーリングオフ、中途解約権あり。

5. デート商法: 恋愛感情を利用して高額商品を購入させる。→ 消費者契約法4条3項4号(恋愛感情の濫用)による取消し。

6. 情報商材詐欺: 「簡単に月収100万円」等の虚偽広告で高額な教材・コンサルを販売。→ 不実告知・断定的判断の提供による取消し。

共通の対処: 消費生活センター(消費者ホットライン188番)への相談、弁護士への相談。

製造物責任法(PL法)

製品の欠陥による被害はメーカーの過失を証明せずに賠償請求できます。

詳しく読む ▼

製造物の欠陥によって生命・身体または財産に損害を被った場合、製造業者等に対して損害賠償を請求できる法律です(製造物責任法3条)

特徴: 通常の不法行為(民法709条)と異なり、製造業者の過失の立証が不要(無過失責任に近い厳格責任)。消費者は「欠陥」の存在と「損害」の発生、「因果関係」を証明すればよく、製造者側の注意義務違反を立証する必要がありません。

欠陥の3類型: 1. 製造上の欠陥: 設計通りに製造されなかった不良品 2. 設計上の欠陥: 設計自体に安全上の問題がある 3. 指示・警告上の欠陥: 使用上の注意や警告が不十分

免責事由(製造物責任法4条): 引渡し時の科学技術水準では欠陥を認識できなかった場合(開発危険の抗弁)等。

請求期間: 損害と賠償義務者を知った時から3年(人の生命・身体を害した場合は5年)、引渡しから10年。

対象: 「製造物」は製造・加工された動産を指し、不動産、未加工の農林水産物、ソフトウェア単体は含まれません(ただし、ソフトウェアが組み込まれた製品は対象)。

ネット通販・サブスクリプションのトラブル

ネット通販の返品や定期購入トラブルへの対処法を解説します。

詳しく読む ▼

インターネット取引に関する消費者トラブルは急増しています。

ネット通販: 特定商取引法上の「通信販売」に該当し、クーリングオフは適用されません。ただし、広告と異なる商品が届いた場合は契約不適合責任(民法562条)を追及できます。また、2022年改正特定商取引法により、注文確定前に契約内容を確認できる最終確認画面の表示が義務化されました(特定商取引法12条の6)

定期購入トラブル: 「お試し価格」で申し込んだら実は定期購入だったというトラブルが多発しています。2022年改正で、定期購入契約の最終確認画面での条件表示が義務化され、表示しない場合は取消しが可能です。

サブスクリプション: 解約が困難なサービス設計が問題となっています。特定継続的役務提供に該当する場合はクーリングオフ(8日間)と中途解約権が認められます。

チャージバック: クレジットカードの不正利用や商品未着の場合、カード会社に対して支払いの取消しを求める制度です。カード会社の規約に基づく制度であり法的な請求権ではありませんが、実務上有効な救済手段です。

相談窓口: 消費者ホットライン188番、国民生活センター、各地の消費生活センター。

関連条文を見る ▶
項目条文概要
クーリングオフ(訪問販売)特定商取引法9条訪問販売における契約の申込みの撤回・解除(8日間)
クーリングオフ(連鎖販売)特定商取引法40条連鎖販売取引における契約の解除(20日間)
消費者契約の取消し消費者契約法4条不実告知、断定的判断の提供、不退去等による取消し
不当条項の無効消費者契約法8-10条事業者免責条項、解除権放棄条項等の無効
製造物責任製造物責任法3条製造物の欠陥による損害賠償責任(無過失責任)
送り付け商法特定商取引法59条注文のない商品は直ちに処分可能(2021年改正)
最終確認画面特定商取引法12条の6通信販売の注文確定前に契約内容の最終確認画面を表示する義務

関連ツール

よくある質問

ネット通販にクーリングオフはありますか?
ありません。通信販売(ネット通販)にはクーリングオフ制度は適用されません。ただし、返品特約の表示がない場合は商品受領後8日以内であれば返品可能です(特定商取引法15条の3、送料は購入者負担)。また、商品が説明と著しく異なる場合は、契約不適合責任(民法562条)に基づく修補・代金減額・損害賠償請求が可能です。
「お試し価格」で申し込んだら定期購入になっていた場合は?
2022年改正の特定商取引法により、注文確定前の最終確認画面で定期購入であること・総額・解約条件等を明確に表示する義務があります(特定商取引法12条の6)。表示が不十分な場合は、消費者は申込みの意思表示を取り消すことができます。消費生活センター(188番)に相談し、解約を申し入れてください。
訪問販売で契約してしまったが解約したい。期限は過ぎたかもしれない。
クーリングオフ期間(8日間)が過ぎていても、契約書面が法定の記載事項を満たしていない場合は、書面の不備を理由にクーリングオフ期間が進行していないと主張できます。また、不実告知や退去妨害があった場合は、消費者契約法4条による取消しが可能です(1年以内)。諦めずに消費生活センターや弁護士に相談してください。
製造物責任法で訴える場合、メーカーの過失を証明する必要がありますか?
いいえ。製造物責任法は、メーカーの過失ではなく「欠陥」の存在を要件としています。消費者は(1)製造物に欠陥があったこと、(2)損害が発生したこと、(3)欠陥と損害の因果関係を証明すれば足ります。メーカーの注意義務違反(過失)を立証する必要はありません。
注文していない商品が届いた場合はどうすれば?
2021年の特定商取引法改正により、注文していない商品(送り付け商法)は直ちに処分してかまいません(特定商取引法59条)。以前は14日間保管する義務がありましたが、改正後は即日処分が可能です。代金を支払う義務は一切ありません。請求電話がかかってきても応じないでください。

関連コラム

関連するQ&A

関連する法律用語

※ 本記事は法律の一般的な知識を提供するものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。

お近くの弁護士会の法律相談をご利用ください

日弁連 法律相談ガイド →