離婚

離婚

離婚に関する法律知識を体系的に解説。協議離婚から裁判離婚まで、手続きの流れや費用、親権・養育費・財産分与・慰謝料の相場を条文・判例に基づいて説明します。

離婚の種類と手続き

離婚には協議・調停・審判・裁判の4つの方法があります。

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日本の離婚には主に4つの方法があります。

協議離婚(民法763条): 夫婦の合意のみで成立。離婚届を市区町村に提出。日本の離婚の約90%がこの方法です。

調停離婚(家事事件手続法244条): 家庭裁判所での調停により成立。調停委員が間に入り、合意形成を支援します。

審判離婚(家事事件手続法284条): 調停が不成立の場合に、裁判所が審判で離婚を認めることがあります。

裁判離婚(民法770条): 法定離婚原因(不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、強度の精神病、その他婚姻を継続し難い重大な事由)がある場合に、訴訟で離婚が認められます。

親権

離婚時に未成年の子の親権者を決める手続きと判断基準を解説します。

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離婚時には、未成年の子の親権者を父母のどちらか一方に定める必要があります(民法819条)

日本では母親が親権者となるケースが約85%を占めます(司法統計)。親権者の決定にあたっては、子の利益を最優先に考慮し、これまでの養育実績、子の年齢・意思、経済力、生活環境などが総合的に判断されます。

養育費

養育費の金額は算定表で決まり、子が成人するまで支払います。

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養育費は、子の生活に必要な費用(衣食住、教育費、医療費等)を、非監護親が負担するものです。

金額は裁判所の養育費算定表(令和元年改定版)に基づいて決定されるのが一般的です。双方の年収と子の人数・年齢により算出されます。

支払期間は、子が成人(18歳)または大学卒業(22歳)まで。当事者間の合意により定めます。

財産分与

婚姻中に築いた財産を原則2分の1ずつ分ける制度です。

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財産分与(民法768条)は、婚姻中に形成された共有財産を分割する制度です。

原則として2分の1ずつ(寄与度均等の原則)。対象は預貯金、不動産、有価証券、退職金、年金分割等。婚姻前の財産(特有財産)は対象外です。

請求期限は離婚後2年以内(民法768条2項)

慰謝料

離婚原因を作った配偶者への損害賠償で、相場は50〜500万円です。

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離婚慰謝料は、離婚原因を作った配偶者に対する損害賠償です(民法709条、710条)

相場の目安: - 不貞行為: 100〜300万円 - DV: 50〜500万円 - モラハラ: 50〜300万円

金額は、婚姻期間、子の有無、証拠の有無、行為の悪質性等により変動します。

面会交流

離婚後に子と別居する親が定期的に子と会う制度です。

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面会交流とは、離婚後に子と別居する親(非監護親)が子と定期的に会う権利・制度です(民法766条)

取り決め事項: 頻度(月1〜2回が一般的)、場所、時間、宿泊の有無、連絡方法、学校行事への参加等について定めます。

調停・審判: 当事者間で合意できない場合は、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てることができます(家事事件手続法別表第2の3)。調停不成立の場合は審判に移行します。

間接強制: 調停や審判で定められた面会交流を相手が履行しない場合、間接強制(不履行1回につき一定の制裁金を課す)が可能です(最決平成25年3月28日)。ただし、面会の日時・頻度・方法等が具体的に定められている必要があります。

制限・拒否が認められるケース: DV・児童虐待がある場合、子が強く面会を拒否している場合(特に概ね10歳以上の子の意思は尊重される)、連れ去りの現実的な危険がある場合等は、面会交流が制限・拒否されることがあります。

第三者機関の利用: 当事者間の直接のやり取りが困難な場合、FPIC(家庭問題情報センター)等の第三者機関を介して面会交流を実施する方法があります。

年金分割

婚姻期間中の厚生年金記録を分割して離婚後の格差を是正します。

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離婚時に婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を分割する制度で、離婚後の経済的格差を是正する目的があります。

合意分割(厚生年金保険法78条の2): 当事者の合意または裁判手続き(調停・審判)により按分割合を決定します。按分割合の上限は2分の1です。

3号分割(厚生年金保険法78条の14): 2008年4月1日以降の第3号被保険者期間(専業主婦(夫)期間)について、相手方の合意なく自動的に2分の1に分割される制度です。

請求期限: 離婚成立日の翌日から2年以内に年金事務所に請求する必要があります。この期限は除斥期間とされており、延長は認められません。

情報通知書: 年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を請求することで、分割対象となる年金記録の見込みを確認できます。離婚前でも請求可能です。

注意点: 分割されるのは「年金額」そのものではなく「保険料納付記録」です。実際の年金受給額は、自身が受給年齢に達した時に年金記録全体から算出されます。また、国民年金(基礎年金)は分割の対象外です。

DV保護命令

配偶者の暴力から身を守るための接近禁止命令などの制度です。

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配偶者からの暴力(DV)に対しては、配偶者暴力防止法(DV防止法)に基づく保護命令を地方裁判所に申し立てることができます。

保護命令の種類(DV防止法10条): 1. 接近禁止命令: 被害者への付きまとい等を6ヶ月間禁止(10条1項1号) 2. 退去命令: 共同生活の本拠からの退去を2ヶ月間命令(10条1項2号) 3. 電話等禁止命令: 電話、メール、SNS、FAX等による連絡を禁止(10条2項) 4. 子への接近禁止命令: 被害者と同居する未成年の子への接近を禁止(10条3項) 5. 親族等への接近禁止命令: 被害者の親族等への接近を禁止(10条4項)

申立ての要件: 配偶者(事実婚・元配偶者を含む)からの身体的暴力または生命・身体に対する脅迫を受けたこと。2024年改正(施行予定)で精神的暴力(モラハラ等)にも拡大される見込みです。

違反した場合: 1年以下の懲役または100万円以下の罰金(DV防止法29条)

相談先: 配偶者暴力相談支援センター(全国に約300カ所)、警察(#9110)、弁護士。証拠の保全(診断書、写真、録音、LINEやメールの記録等)が極めて重要です。

国際離婚

外国人配偶者との離婚では準拠法や管轄など特有の問題があります。

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日本人と外国人、または海外在住の日本人夫婦の離婚には、国内離婚とは異なる特有の法的問題があります。

準拠法: 法の適用に関する通則法27条により、夫婦の本国法が同一の場合はその法律、同一でない場合は夫婦の常居所地法、それもない場合は夫婦に最も密接な関係がある地の法律が適用されます。日本に居住する日本人と外国人の離婚では、日本法が適用されることが多いです。

裁判管轄: 被告の住所地が原則ですが(民事訴訟法4条)、日本に住所がある場合は日本の裁判所に管轄が認められます。最高裁平成8年6月24日判決により、被告が外国に居住していても、原告が日本に居住する等の事情があれば日本の管轄が認められることがあります。

協議離婚の国際的有効性: 日本の協議離婚(役所への届出のみ)は、多くの外国では認められません。そのため、外国でも離婚の効力が認められるよう裁判離婚を選択するケースもあります。

ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約): 日本は2014年に発効。一方の親が子を無断で国外に連れ出した場合、子の常居所地国への返還を求める手続きが定められています。中央当局は外務省です。

外国判決の承認: 外国で成立した離婚判決は、民事訴訟法118条の要件(管轄権、送達、公序良俗、相互の保証)を満たせば日本でも効力が認められます。

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項目条文概要
協議離婚民法763条夫婦は、その協議で、離婚をすることができる
裁判離婚民法770条法定離婚原因(不貞行為、悪意の遺棄等)がある場合に訴訟で離婚可能
財産分与民法768条離婚した者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる
親権者の指定民法819条離婚の際、父母の一方を親権者と定めなければならない
面会交流民法766条離婚後の子との面会交流について定める
年金分割厚生年金保険法78条の2離婚時の厚生年金の保険料納付記録の分割
DV保護命令配偶者暴力防止法10条配偶者からの暴力に対する接近禁止命令等の保護命令

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よくある質問

離婚届を出すだけで離婚できますか?
協議離婚の場合、夫婦双方が署名した離婚届を市区町村に提出するだけで離婚が成立します。証人2名の署名も必要です。ただし、未成年の子がいる場合は親権者を定める必要があります。また、養育費・面会交流・財産分与等の取り決めは離婚届の提出前に行い、公正証書にしておくことをお勧めします。
離婚の慰謝料に税金はかかりますか?
離婚慰謝料は損害賠償であり、受け取る側には原則として所得税はかかりません(所得税法9条1項17号)。財産分与も原則として贈与税はかかりませんが、社会通念上相当な金額を著しく超える場合や、離婚が贈与税・相続税の回避目的と認められる場合は課税対象となる可能性があります。
別居期間はどのくらい必要ですか?
法律上、別居期間の明確な基準はありません。ただし、裁判離婚では「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)の判断材料として、一般的に3〜5年程度の別居期間が考慮されます。有責配偶者(不貞行為をした側)からの離婚請求の場合は、より長期間(7〜10年以上)が必要とされる傾向があります。
養育費の支払いが止まったらどうすれば?
公正証書(強制執行認諾文言付き)や調停調書がある場合は、裁判所を通じて強制執行(給与差押え等)が可能です(民事執行法152条3項により、養育費の場合は給与の2分の1まで差押え可能)。合意書しかない場合は、まず家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てます。2020年の民事執行法改正で、債務者の財産開示手続き(民事執行法197条)や第三者からの情報取得手続き(民事執行法204条以下)が強化され、差押えが容易になりました。
離婚後に年金分割はできますか?
はい。離婚後2年以内であれば年金分割の請求が可能です。合意分割(婚姻期間中の厚生年金記録を最大2分の1に分割)と3号分割(2008年4月以降の第3号被保険者期間を自動的に2分の1に分割)の2種類があります。年金事務所に「情報通知書」を請求することで、分割対象となる年金額の見込みを確認できます。

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※ 本記事は法律の一般的な知識を提供するものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。

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