テレワークと労働法
テレワーク(在宅勤務・リモートワーク)でも、労働基準法、労働安全衛生法等の労働法規は通常どおり適用されます(厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」2021年)。
労働時間の管理
使用者の把握義務
使用者には労働時間を適正に把握する義務があります(労働安全衛生法66条の8の3、厚生労働省ガイドライン)。テレワークでも以下の方法で把握が必要です: - パソコンのログイン・ログアウト記録 - 勤怠管理システムへの入力 - 始業・終業時のメール・チャット報告
事業場外みなし労働時間制(労基法38条の2)
以下の要件を全て満たす場合に適用可能です: 1. 情報通信機器が使用者の指示により常時通信可能な状態に置かれていないこと 2. 随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと
要件が厳格であるため、チャットで常時やり取りしている場合は適用できないことに注意が必要です。
フレックスタイム制(労基法32条の3)
テレワークとの親和性が高い制度です。労使協定で以下を定めます: - 清算期間(最長3ヶ月)と総労働時間 - コアタイム(任意)とフレキシブルタイム
費用負担
| 項目 | 取扱い |
|---|---|
| 通信費 | 就業規則等で労働者負担とする場合は明記が必要(労基法89条5号) |
| 光熱費 | 同上 |
| 機器費用 | 会社が貸与するか、手当で補填するのが一般的 |
| 事務用品 | 就業規則で取り決め |
労働者に費用を負担させる場合は、就業規則に規定が必要です(労基法89条5号)。
安全配慮義務
使用者は、テレワーク中の労働者に対しても安全配慮義務(労働契約法5条)を負います: - 長時間労働の防止(時間外労働の上限規制は当然適用) - メンタルヘルスケア(ストレスチェック制度の実施、労安法66条の10) - 作業環境の整備に関する助言(照明、椅子、温度等の指針提供)
労災の適用
テレワーク中の負傷・疾病も、業務遂行性・業務起因性が認められれば労災の対象です。例えば、在宅勤務中にトイレに行く途中で転倒した場合なども業務災害として認められる可能性があります。
根拠条文
- 労働基準法38条の2(事業場外みなし)、32条の3(フレックスタイム)、89条(就業規則)
- 労働安全衛生法66条の8の3(労働時間の把握)、66条の10(ストレスチェック)
- 労働契約法5条(安全配慮義務)