労働問題の全記事を見る最終更新: 2026-03-13

労災認定の基準|業務災害・通勤災害の要件と申請手続き

この記事のポイント

  • 月80時間超の残業は過労死ラインとして労災認定の目安になる
  • 通勤中の事故も通勤災害として労災の対象になる
  • うつ病など精神障害も労災認定される場合がある
  • 不支給決定に対しては審査請求で不服申立てできる

労災保険とは

労働者災害補償保険法に基づき、業務上の事由又は通勤による負傷・疾病・障害・死亡に対して保険給付を行う制度です。

業務災害の認定要件

業務災害として認められるには、以下の2つの要件が必要です:

  1. 業務遂行性: 労働者が使用者の支配下にある状態で発生したこと
  2. 業務起因性: 業務と傷病等との間に相当因果関係があること

通勤災害の要件

通勤災害として認められるには(労災保険法7条2項): - 住居と就業の場所との間の往復であること - 合理的な経路及び方法によること - 業務の性質を有しないこと

逸脱・中断

通勤経路から逸脱・中断した場合は原則として通勤と認められませんが、日用品の購入、病院への通院、選挙の投票等は例外として認められます(労災保険法7条3項)

過労死の認定基準

脳・心臓疾患(過労死ライン)

2021年改正の認定基準: - 発症前1ヶ月に100時間又は発症前2〜6ヶ月平均で月80時間を超える時間外労働 → 業務と発症の関連性が強い - 上記に至らなくても、労働時間以外の負荷要因(不規則な勤務、出張の多さ、心理的負荷等)も総合的に評価

精神障害の認定基準

2023年改正の認定基準: - 対象疾病: うつ病、適応障害、急性ストレス反応等 - 業務による強い心理的負荷があったこと - 業務以外の心理的負荷・個体側要因により発病したとは認められないこと - パワーハラスメントが心理的負荷の評価項目として明記(2023年改正で追加)

給付の種類

給付内容
療養補償給付治療費の全額
休業補償給付休業4日目から給付基礎日額の60% + 特別支給金20%
障害補償給付障害等級に応じた年金又は一時金
遺族補償給付遺族年金又は一時金

申請手続き

  1. 労災指定病院で受診(窓口負担なし)
  2. 所轄の労働基準監督署に請求書を提出
  3. 労基署が調査の上、支給・不支給を決定

不支給決定への不服申立て

不支給決定に不服がある場合: 1. 審査請求: 労働者災害補償保険審査官に対して(決定を知った日から3ヶ月以内) 2. 再審査請求: 労働保険審査会に対して(決定を知った日から2ヶ月以内) 3. 行政訴訟: 裁判所に取消訴訟を提起

根拠条文

  • 労働者災害補償保険法7条(通勤災害)、12条の8(保険給付)
  • 労働基準法75条〜88条(災害補償)
※ 本記事は法律の一般的な知識を提供するものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。

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