相続の全記事を見る最終更新: 2026-03-13

生前贈与と特別受益|相続分への持ち戻し計算を解説

この記事のポイント

  • 生前贈与は特別受益として相続分の計算に組み込まれる
  • 遺言で持ち戻し免除の意思表示ができる
  • 婚姻20年以上の配偶者への自宅贈与は持ち戻し不要
  • 特別受益の有無で各相続人の取り分が大きく変わる

特別受益とは

特別受益とは、共同相続人の中に被相続人から遺贈を受けたり、婚姻・養子縁組のため又は生計の資本としての贈与を受けた者がいる場合に、相続分の計算で考慮される利益です(民法903条1項)

特別受益に該当するもの

該当するもの具体例
遺贈遺言による財産の給付
婚姻のための贈与持参金、結婚支度金
養子縁組のための贈与縁組に際しての財産給付
生計の資本としての贈与住宅取得資金、開業資金、高額な教育費

該当しないもの

  • 通常の扶養の範囲内の教育費
  • 少額の贈答品
  • 遺族の生活費としての支出

持ち戻し計算の方法

計算式

みなし相続財産 = 相続開始時の財産額 + 特別受益の額

各相続人の具体的相続分 = みなし相続財産 × 法定相続分 − 特別受益の額

計算例

被相続人の遺産: 6,000万円、相続人: 子A・子B 子Aは生前に住宅資金2,000万円の贈与を受けていた場合:

  • みなし相続財産: 6,000万 + 2,000万 = 8,000万円
  • 子Aの具体的相続分: 8,000万 × 1/2 − 2,000万 = 2,000万円
  • 子Bの具体的相続分: 8,000万 × 1/2 = 4,000万円

持ち戻し免除の意思表示

被相続人は、持ち戻し免除の意思表示をすることができます(民法903条3項)。遺言や生前の意思表示で「特別受益の持ち戻しを免除する」と明示すれば、当該贈与は相続分の計算に含まれません。

配偶者への居住用不動産贈与の特例(2019年施行)

婚姻期間20年以上の配偶者に対する居住用不動産の贈与又は遺贈については、持ち戻し免除の意思表示があったものと推定されます(民法903条4項)

これにより、配偶者が自宅の贈与を受けても、遺産分割で相続分が減らされることがなくなりました。

特別受益と贈与税の関係

生前贈与には贈与税が課税されますが、相続税の計算では以下のルールがあります: - 相続開始前7年以内の贈与: 相続財産に加算(2024年以降段階的に延長) - 相続時精算課税制度: 2,500万円まで非課税で贈与し、相続時に精算

根拠条文

  • 民法903条(特別受益者の相続分)、904条(贈与の価額)
  • 相続税法19条(相続開始前の贈与加算)、21条の9〜21条の18(相続時精算課税)
※ 本記事は法律の一般的な知識を提供するものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な法的問題については、弁護士にご相談ください。

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