示談とは
刑事事件における示談とは、加害者と被害者が民事上の損害賠償について合意し、被害者が加害者の処罰を求めない意思を表明する(又は被害届・告訴を取り下げる)和解のことです。
示談の法的効果
1. 不起訴処分への影響
検察官は起訴・不起訴を判断する際、示談の成立を重要な考慮要素とします(刑事訴訟法248条「起訴猶予」)。特に以下の犯罪では示談の影響が大きい: - 親告罪(名誉毀損、器物損壊等): 告訴の取下げにより起訴不可 - 比較的軽微な犯罪: 暴行、傷害(軽微な場合)等
2. 量刑への影響
起訴された場合でも、示談の成立は量刑を軽くする重要な事情として考慮されます。実刑が執行猶予になる可能性もあります。
示談金の相場
| 犯罪類型 | 示談金の目安 |
|---|---|
| 暴行(軽傷) | 10〜30万円 |
| 傷害(全治1ヶ月程度) | 30〜100万円 |
| 傷害(重傷) | 100〜500万円 |
| 窃盗 | 被害額+慰謝料10〜50万円 |
| 名誉毀損 | 30〜100万円 |
| 器物損壊 | 損壊物の時価+慰謝料 |
| 強制わいせつ | 50〜300万円 |
| 盗撮 | 30〜100万円 |
示談交渉の進め方
1. 弁護士を通じた交渉
加害者本人が被害者に直接連絡することは避けるべきです。被害者の連絡先は通常、弁護士を通じてしか教えてもらえません(検察官が弁護士限りで開示)。
2. 示談書の主な記載事項
- 当事者の表示
- 事件の特定(日時、場所、行為の概要)
- 示談金の額と支払方法
- 被害者の宥恕(処罰を求めない意思表示)
- 被害届・告訴の取下げ
- 清算条項(今後一切の請求をしない旨)
- 接触禁止条項(必要に応じて)
3. 嘆願書
被害者が嘆願書(加害者の処罰を軽くしてほしい旨の書面)を作成してくれる場合、検察官・裁判所に提出します。
示談が困難なケース
- 被害者が示談を拒否する場合 → 贖罪寄付(日本弁護士連合会等への寄付)を行い、反省の意を示す
- 被害者が不明・連絡不能の場合 → 供託(法務局に供託金を納付)
注意点
- 示談は民事上の和解であり、刑事処分を直接決めるものではない
- 恐喝的な示談要求に応じる必要はない
- 示談金の分割払いも交渉可能
- 示談後の追加請求は清算条項により原則不可
根拠条文
- 刑事訴訟法248条(起訴猶予)
- 刑法42条(自首減軽)— 示談と組み合わせて活用
- 民法695条(和解)、696条(和解の効力)